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第七十九話
地下トンネル
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語り手:くろさん ◆LdvZfU9b6I
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271 :くろさん ◆LdvZfU9b6I :2006/08/12(土) 04:50:26 ID:T/xjXAWb0
79話目を語らせていただきます。
「地下トンネル」
この話はわたしの通っていたキリスト教系の女学校の話です。
この女学校は丘の上に立っていて、戦時中は国に占拠されて
軍が使用していました。
そのためかこの女学校の古い講堂の地下には大きなトンネルがあったのです。
実際に講堂の掃除当番になった生徒が肝試しに中に入ったりして遊んでいました。
何のための地下トンネルなのか、いろいろと議論が交わされましたが、
どうやら軍が女学院を含む市内の地下に網目状にトンネルを張り巡らして
連絡通路代わりに使っていたとのことでした。
けれど、わたしが在学中の時にはすでにトンネルの奥は崩れてしまって
それ以上進むことはできなかったようです。
実際に中に入った友人は、
「お茶碗や箸や生活雑貨が土に埋もれていて気味が悪かった・・・」
と語っていました。
わたしが在学中より数年前まではもっと奥まで通路は続いていて、
何人かが生活していたあとがあったそうです。
そういう残骸のひとつに古びた日記があったそうです。
日記には当時の戦局や日記の持ち主自身のことなどが書かれていました。
しかし、その文体は少しずつ乱れていき、途中のページでいきなり途切れて、
血がべっとりとついていたそうです。
その日記は最初生徒が持っていたのですが、あまりにも生徒たちが騒ぐので、
学年主任である教師が取り上げて、しまってあるそうです。
わたしが在学中、そのトンネルにもぐりこむ生徒があまりにも絶えない為、
とうとうトンネルの入り口はふさがれてしまいました。
今でも母校の立つ土地の地下には無数のトンネルが誰にも知られずに
存在しているのでしょうか。
【完】
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