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フッ・・・

第七十話

鏡の女

語り手:クリやん ◆aHHsHtXLnA

249 :クリやん ◆aHHsHtXLnA :2006/08/12(土) 04:00:38 ID:+b2E+JKw0
『鏡の女』

父は元・国鉄職員。
車掌をやっていた時期もあって、夜中に交代して寝台列車に乗ることもあった。
そういう時は早めに休み、交代時間までに起きて準備をするわけだが、
父がよく利用していた某駅舎近くの仮眠所の話を以前してくれた。

夜中のその仮眠所では、顔を洗う際、鏡で自分の顔を見れないのだそうだ。
何故見えないのか…父いわく、
『本来自分が映るはずの鏡に女性の顔が映っていて、自分の顔が映らない』
ということだった。

毎回のことですっかり慣れた父には、さほど怖いことでもないらしい。
何故そこに女性の霊が現れるのかはわからない。
ただ、列車といえば死亡事故はとても多く・・・
飛び込みがあった時など、警察が来るまでの間、職員がご遺体と二人きり
で待つなんてことも当たり前にあるらしい。
それは父自身も実際に経験したそうだ。

鏡の中の彼女は、職員の誰かが事故現場からつれて来た女性なのだろうか。
ちなみに今、その仮眠所は取り壊され、別の建物が建っているらしい。

【完】


フッ・・・