<-百物語トップ
第一話
第二話
第三話
第四話
第五話
第六話
第七話
第八話
第九話
第十話
第十一話
第十二話
第十三話
第十四話
第十五話
第十六話
第十七話
第十八話
第十九話
第二十話
第二十一話
第二十二話
第二十三話
第二十四話
第二十五話
第二十六話
第二十七話
第二十八話
第二十九話
第三十話
第三十一話
第三十二話
第三十三話
第三十四話
第三十五話
第三十六話
第三十七話
第三十八話
第三十九話
第四十話
第四十一話
第四十二話
第四十三話
第四十四話
第四十五話
第四十六話
第四十七話
第四十八話
第四十九話
第五十話
第五十一話
第五十二話
第五十三話
第五十四話
第五十五話
第五十六話
第五十七話
第五十八話
第五十九話
第六十話
第六十一話
第六十二話
第六十三話
第六十四話
第六十五話
第六十六話
第六十七話
第六十八話
第六十九話
第七十話
第七十一話
第七十二話
第七十三話
第七十四話
第七十五話
第七十六話
第七十七話
第七十八話
第七十九話
第八十話
第八十一話
第八十二話
第八十三話
第八十四話
第八十五話
第八十六話
第八十七話
第八十八話
第八十九話
第九十話
第九十一話
第九十二話
第九十三話
第九十四話
第九十五話
第九十六話
第九十七話
第九十八話
第九十九話
第百話
<-百物語ランキング <-オカルト板リンク集
<-摩訶不思議ワールド
|
|
第五十四話
丑の刻参り
|
語り手:ねずみをとこ 7hkTRVhR0
|
195 :ねずみをとこ :2006/08/12(土) 02:22:16 ID:7hkTRVhR0
第五十四話 丑の刻参り 1/3
これは知人が大学時代に体験した話
彼はラグビー部に所属にしており、その夏、某所に合宿にいった。
熱心な部だったようで、朝から夕方まで練習に明け暮れていたようだ。
ある晩、友人と二人で寮の部屋で時間を過ごしていると、どちらともなく、
暇だから肝試しにでもいかないか、という話になり、
せっかくだからめちゃくちゃ怖いところに行こうと、
夜中には行ってはいけないと評判の近所の神社に向かった。
196 :ねずみをとこ :2006/08/12(土) 02:22:57 ID:7hkTRVhR0
2/3
入り口につくと、そこはうっそうと木が生い茂り、空気もどこかよどんでいた。
この嫌な雰囲気には二人も少し気押された。
境内は高いところにあり、そこへすぅっと長い石階段が延々と続いていた。
二人はトボトボと階段を上り始める。
しかし、道がかなり暗く、足元もゴツゴツしていて上るのに骨が折れる。
知人は内心怖かったのだが、それを誤魔化すかのように冗談半分に友人へ話をふる
「しっかし、暗いなぁ、こんだけうっそうとしてると、
誰か丑の刻参りでもしとるんとちゃうか?」
かもなあと、友人が笑っていると、コツーンコツーンと音がきこえてきた
うおっ?となって、ずぅーと音の方向をみてみたら、
白い服をきた女の人がいた。本当に絵で書いたように、ハチマキして白装束で蝋燭を額に立てて、わら人形に五寸釘を、金槌でガン、ガン、と打ちつけている。
それを見て、さすがにラガーマンである二人も背中に冷や水をかけられた風になった。
見つかってはならないと思うのだが、二人とも恐怖で身体が動かない。
中腰のまま動けずに、茂みの中からそれじぃっと見てしまい、目が離せない。
女の人は、真っ青な顔で、一点を見つめて一心不乱にわら人形を撃ちつけている。
30分ぐらい見ていた気分だったが、実際は2、3分だっただろう。
そのうち腰がぬけ、膝がガクガク震えてきた。友人が足をジリと動かした時、
足元にあったコーラの空き缶がカタリと倒れて、石段をカーン、カーン、
カーンと音を立てて落ちていった。そうしたら、女がギッィィッィィとこっちを見て、
目と目があったときに、「みたな」と口を動かした。
その瞬間、二人は金縛りがとけたように、身体が動き、すくっと立ち上がることができ、
セキを切ったかのごとく石段をかけだした。すると、白装束の女が手に金槌をもったまま、
フラーフラーフラーってスローモーションみたいに追いかけてくる。
ラグビー部の二人はラグビーで鍛えた足で階段をものすごい勢いで降りているのに、
後ろを見たら常に自分の肩先あたりに女の人がいる。ずっと。必死で逃げているのに。
ずぅっと合宿先の手前まで肩のすぐそばに顔があった。部屋に駆け込んで、扉をしめて、
すぐに布団をかぶって、震えながら眠りについた。
197 :ねずみをとこ :2006/08/12(土) 02:23:48 ID:7hkTRVhR0
3/3
次の朝、あまりに恐ろしい出来事だったので、夢だったかも知れないと、
知人が話すと、「いや、夢じゃない、俺もみた」と彼の友人は答えた。
しかし、白装束の女は二人の見間違いだったかも知れないという話になり、
ためしに現場に戻ってみることになった。
神社にきてみると、石段が血でべっとりになっていた。女は裸足で追いかけてきたから、
足の裏が切れたのだろう。その血は合宿先にも続いていて、出るときは気づかなかったが
内部にまで続いていた。自分たちの部屋の前まで続いており、扉の前には血で水溜りが
出来ていた。おそらく、女は一晩中、知人たちが扉から出てくるのを待っていたのだろう。
【完】
|
|