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第七十三話
S山のこと2
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語り手:スペッポ P8Akb4pb0
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384 :スペッポ :2006/07/23(日) 04:31:45 ID:P8Akb4pb0
もう一回、S山での不思議体験書きます。
1/2
俺の家の裏にあるS山は、天然の水晶が取れたり、野生の猿が居たりで
楽しい山なんだけど、ちょっと不思議な人も多いです。
今まで見た変な人。
山の中の公園で、ベンチに座ってるオバサン。
何かの本を読んでゲラゲラ笑ってる。
ふと公園を出るときに、何読んでるんだろってその本をチラ見したら、
真っ白なページだった。
夏に登山するにはやたら厚着で山を降りてくるオジサン。
手にはポケットティッシュで一杯になったコンビニ袋を提げている。
すれ違う人皆に声をかけては、逃げられている。
で、俺の横を通りかかった時、
ティッシュくれませんか?ティッシュ。と小走りで寄って来た。
持ってるじゃないですか。って俺が言うと、
ケチやなティッシュぐらいでよ!と怒鳴り散らして来た。
俺は腰が抜けた。
386 :スペッポ :2006/07/23(日) 04:33:47 ID:P8Akb4pb0
2/3
そんで、一番印象に残ってる人。
中学の頃、山登りが好きで、よく友達と頂上まで登ってはそこの広場で遊んでたんだけど、
その日は遊びすぎて9時を回ってた。
当然山は真っ暗で少し前の友達の顔も見えない。
そろそろ帰るかーなんて話してると、遠くから声がする。
「オーーーーイ。オーーーーイ。」
なんだろと思って声の方を見たら、なんかチラチラ動く光が見える。
「オーーーーイ。オーーーーイ。」
不気味だった。だって確かその方向は道が無くて木がいっぱい生えてる結構な斜面だったから。
すると光が近づいてくる。また呼ぶような声。声から判断するにおじいさんっぽい。
シルエットがうっすら見えて、光の正体はそのおじいさんが被ったライト付きのヘルメットのようだった。
(トンネル工事とかで被るみたいなの。)
顔は逆光になるから見えなかったんだけど、普通の人っぽくて一安心。
387 :スペッポ :2006/07/23(日) 04:34:37 ID:P8Akb4pb0
3/3
・・・だったんだけど、
「もう遅いから帰りなさーーーい。あぶないよーーーー。」って俺らに言うんだけど、
話し方がね、なんか物凄い遠くの人に言う感じなんだ。
耳が遠いのかなって思ってたんだけど、なんか動きも変。
光がぐるぐる回るんだ。つまりキョロキョロしてるみたいなのよ。
手に持った杖もカツンカツン落ち着きが無い。
「早く帰るんだよーーーーーー。」って言っておじいさんはそのままどっかへ歩いていくからさ、
友達が懐中電灯で照らしたんだよ。おじいさんを。
そしたらけっこうまだ近くに居てね、ハッキリと見えたんだけど、
手に持ってたステッキがさ、赤と白の盲人用ステッキだった。
おじいさん、足取りもおぼつかないし、相変わらずライトはめちゃくちゃ忙しなく動いてるしさ。
失礼かもしれないけど、怖かった。
おじいさんが行ってから、友達が、
「目、見えてないんちゃう。」って呟いて、ゾッとしてしまった。
目が見えないとか有り得ないしさ、
単純に俺らを心配したおじいさん登山家が注意をしてくれただけなんだろうけど。
でも、やっぱそれじゃ釈然としない不気味さもあったりで・・・。
今でもその声と、フラフラさまようライトの動きをはっきり覚えてます。
【完】
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