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第十一話
窓ガラスのムコウ
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語り手:Mercury ◆YXXD24Gj2U
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154 :Mercury ◆YXXD24Gj2U :2006/07/23(日) 00:08:32 ID:pbbnDcQf0
こんばんは。私は二話担当させていただきます。
二話とも電車の中での出来事なので電車シリーズとさせていただきます。
言うまでもないことですが、二つとも実話です。霊は出てきませんがよろしくお願いします。
【第一話:窓ガラスのムコウ】このスレ的には11話目
もちろん題名はSMAPの夜空のムコウのパクリです。
ある日出張が終わり早めの電車に乗って帰りました。
電車は割合すいてまして、丁度つり革皮ほとんど埋まるくらいの混み方でしょうか。
私も一つのつり革につかまりました。
となりには若い女性がやはりつり革につかまっていました。
なんといいますか、 清楚な感じでかといって地味過ぎではなく、顔は私のまさにタイプのドンピシャリでした。
なんだかうれしくなってしまいました。
で、駅を出発したのですが、列車はその区間が高架線で電車の窓の向こうは夜ですから真っ暗で、
こちら側が鏡のように見えます。実は女性が美人であることもそれで知ったのです。
その女性、 窓ガラスの反射を通してみると、何やら口をもぞもぞ動かしています。
丁度、口紅をつけた 女性が鏡でその塗り具合を確認しているような格好です。
私は思いました。「ははぁ〜、 これからデートだな。お化粧の最後のチェックをしているんだ。
さぞ楽しみなんだろうなぁ〜」。 ま、そんなわけであとは私は自分の考え事にふけっていました。
155 :Mercury ◆YXXD24Gj2U :2006/07/23(日) 00:09:47 ID:TnaLZHVN0
下げてしまいました、スイマセン。
と、何やらささやき声が聞こえてきました。
そしていくら聞き耳を立てても何を言っているのか 分かりません。
微妙に分からないのです。もちろん電車の中ですから誰かが始終話しています。
でも、そのささやき声、何か様子が違います。
そして気づいたのですが、最初から私には聞こえ ていたんですね。
深夜に突然冷蔵庫がブ〜ンとなっているのに気づくことがあるじゃないですか?
あんな感じです。さて、誰が誰に話しかけているんだろう?でも変だな?
大きくなったり 小さくなったり。なんだか変だ。そう思いながら、周りを見回しました。
しばらく見回しても 分かりません。
で、ふと目の前を見ますと。隣の女性が見えました。口元をまだモゴモゴさせています。
私は急いで横を向きその女性に連れがあるかどうか確認しました。
その女性がしゃべっているよう にしか見えませんでしたから。
がいません。その女性、まっすぐ前を見て話しています。
その女性、 窓ガラスの向こうに向かって話しかけていたんです。
それが分かった瞬間ぞっとしてしまいました。
私には何も見えませんでしたが彼女には何者かが見えたのでしょうか?
それとも、その女性は?
【完】
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