昔は、今のように車なんかありませんでしたから、旅をするにはわらじばきで、歩かなければなりませんでした。遠い道のりを旅する時は、山の形や、大きな木などを目印にして、どこまで行ったら休もうか、なんて、目やすにしていたものです。
そんな木の一つに、街道のそばに、いつも青々としている一本の大きな「ねずみんばら」の木がありました。旅の人は、この村を通るたびに「どれ、あの木の下で、休んでいくべえ。」 「うん、そうするべえ。」といいながら、大きなねずみんばらの木の下で休むのが楽しみでした。その頃は、今のように家もたくさんはありませんでしたから、少し小高いところに立っているねずみんばらの木は、かなり遠い所からも見えて、旅をする人のはげみにもなっていました。
月日は流れて、今まで部落ごとに、村の名前がついていたのが、
その小さな村がいくつもより集まって、一つの大きな村に、生まれかわることになりました。ところが、大きくなった村に、なんと名前を付けたらいゝだろう、ということで、ひともんちゃく、起きてしまいました。一緒になる前の大きな部落だったところはその部落の名前がいゝ、なんていってますし、ほかの部落の人は、その意見に反対しますし、何回相談しても、らちがあきません。
みんなが困りはてゝいるとき、あるお年寄りの人が、 「むかし、旅をする人が、いつも喜んで休んでいた、あの青々とした木は、この村のほこりだから、あの木にちなんだ名前を付けたらどうだろう」といゝ出しました。集まった人たちは、その意見に賛成しました。いつも青々としている木 そこで 「青木」という名前が付けられました。
青木村の名付の親ともいわれるねずみんばらの木は、今は切り倒されて、その姿を見ることは出来ません。※ねずみんばらの木があったのは、今の中学校へ登っていく途中にありました。
そして、昭和の中期に切り倒されています。この葉の形が、校章になったこともあります。
青木の由来 「青木村の伝説と民話」沓掛昭典さん編集・発行 (昭和53年7月発行)
http://www.ued.janis.or.jp/~lscu/densetsu2.htm